28日のブログ

毎月28日に更新します。

Suicaのペンギン

2007年3月18日、ICカード乗車券「PASMO」のサービスが開始されました。

PASMOの種類|PASMO(パスモ)

2007年というと私は14歳。中学校入学とともに購入した通学定期券は磁気カードでした。

明確には覚えていませんが、おそらく中学2年生の頃に継続購入のタイミングでPASMO定期券へ変更したのだと思います。

 

PASMOよりも前、2001年に導入開始されたのが東日本旅客鉄道(JR東日本)が発行する交通系ICカードSuica」です。

右下にあるペンギンのキャラクターが印象的なカードです。

端的に言えば"通勤・通学においてJRの線路を利用する者のみが使用を許されるICカード"、それがSuica

日常的に使用するものにキャラクターのデザインがデフォルトで印刷されている。これほど魅力的なことはありません。

 

そんなSuicaに対して並々ならぬ想いがあります。

 

おそらくPASMOが導入された頃かと思うのですが、交通系ICカード全国相互利用サービスが開始されました。

それはたとえば、西日本旅客鉄道ICカードICOCA」が東京の自動改札で利用できるということです。

相互利用ということは、Suicaを使って地下鉄の定期券も購入できるのではないか。そう思ったのです。

しかし、地下鉄の区間の定期券をSuicaで作成することはできない。それは現在も変わりません。

JR+地下鉄を利用する定期券はSuicaで作成可能とのことですが、私は通学で一切JRの路線を使用しません。

あんなのカードの表面に区間を印字するだけのものだろう、そう思っていました。

Suicaの定期券を作りたいという意思がこんなにあるのに、JRを利用しないというだけで作れないなんて。とてもつらかったです。

 

私はどうにかして地下鉄を利用しながらSuicaの定期を作ることができないか考えました。

しかし鉄道会社が裏道を作るわけがありません。なぜなら、鉄道は線路の上を走っているのだから。

 

 

 

は?

 

 

 

私の通学区間ではどうすることもできず、Suicaの定期券を作る方法は皆無。居住地を変えるしかありませんでした。

JRで通学している、すなわちSuicaの定期券を持っている友人を恨み蔑んだこともありました。

こっちは定期券にキャラクターがいなくても問題なく通学できている、と。

分かってますよ、Suicaの定期券を使っている人々がキャラクター目当てで使っていないことくらい。

今はただ、そうすることでしか精神を保つことのできなかった己の弱さを恥じています。

とにかく毎日Suicaを使っている人が羨ましかった。Suicaを使うことは、皆に等しく与えられている権利だとすら思っていた。

それから、大学生になっても働き始めてもJRを利用する区間で通学・通勤することは一切ありませんでした。

 

転機はコロナ渦。会社では出社回数の制限がかかり、交通費は定期券代の支給から1日単位での支給へと変更。

当然ながら通勤以外の外出も減ったため、こまめにチャージする必要もなくなりました。

ある時、ふと思ったのです。

 

 

 

「今、Suica買えるんじゃね?」

 

 

 

ただのICカードとして使用するならSuicaでも全く問題ない。

しかも、中学生の頃から使用していたPASMOは悲鳴を上げていました。

ICカードって、めくれるんですね。初めて知りました。これで改札通れていたのは奇跡かもしれません。

定期の更新をしても区間が全く印字されなくなり、その有様を見た友人に「これじゃあどこ行くか分からないじゃん」と言われたこともありました。

今こそSuicaを持つべき時が来た。私はPASMOの払い戻しをし、Suicaを購入。

(私のようなかなりひどい状態のPASMOでも払い戻しできました)

 

こうして私はSuicaユーザーとなりました。

パスケースからカードを少しスライドさせるとSuicaのペンギンの姿が見え、私に微笑みかけます。

お店での支払い時も「Suicaで。」と言える優越感。私の人生にSuicaが彩りを添えてくれました。

30年間生きてきて、大学に合格した時くらいの喜びがありました。

 

現在はまたPASMOの定期券を利用しているので、Suicaは大切に保管しています。

最近の楽しみといえば、Suicaのペンギングッズの買い漁りです。

東京駅構内にあるトレニアート東京(鉄道関連グッズを販売しているショップ)へ行って、毎月新柄が発売されるポストカードを買いに行くのが恒例となりました。

東京駅は新幹線に乗らずとも旅立ちの高揚感を味わうことができる場所なので、頻繁に行く理由ができたのはとてもうれしいです。

 

また上野駅構内にオープンしたPenstaにはグッズだけでなくカフェも併設されており、Suicaのペンギンの焼印が押されたパンケーキやラテアートが施されたカフェラテなどが楽しめます。

私はここで販売されている、スーベニアカップに入ったプリンが好きです。全種類集めたい。

 

昨年ごろから半導体不足によるICカードの販売中止なども起こっているため、本当に良いタイミングでSuicaを手に入れることができました。

長年の願いを叶えることができたのはきっと神が見ていた、いや、Suicaのペンギンが見ていてくれたからでしょう。

 

やはり人というのは、何か不自由さを感じることでより自由に生きられるのではないか。

コロナ渦が私にとって様々な良い転機となっていることを、このブログを書いていて度々実感しています。

 

今後の人生も、小さな喜びを大切にしていきたい。そう思いながら私は生きています。