最寄り駅にデニーズがオープンする!
その知らせを聞いたのは、私が小学5年生の時である。
私の住む街はちょうど東京の中央部。
いわゆる大都市と呼ばれる場所へのアクセスがよく、
そんな街で、私はずっと育ったきた。
ただ一つ難点を挙げれば、近くにあるべきものが遠い。
まず一番近くにあるコンビニが歩いて10分のところにある。
二番目に近いコンビニは距離にすると5分もかからないのだが、
(その信号は22時以降になると押しボタン式になる)
マクドナルドもない。ないというか、なくなってしまった。
以前は駅前と、駅から少し離れたオフィスビルに1店舗ずつあり、
両隣の駅にはあるのに、最寄り駅にはないのだ。
近年は友人や職場の同僚と「最寄り駅にマクドナルドがない問題」
マクドナルドの立地戦略部門の方に一度話を伺ってみたい。
しかも私の父はマクドナルドの株を所有しており、
その券を使うために隣駅にあるマクドナルドまで、
基本的に早い安いうまい系の食べ物にあまり労力を使いたくない。
しかし「マックを食べたい」という軽い気持ちを抱いてしまうと「
また最近では外出先でマクドナルドを見つけると、
いわば、私の人生においてマクドナルドを摂取できる貴重な機会だからであ
都心なのに不便で何もない、そんな街にファミレスができる。
初めて耳にするその名前に愛おしさすら感じた。
私はその日から毎日パソコンでデニーズについて調べた。
初めて行った日はこれを食べよう、次はこれで…と考えていると、
オープンして数週間、いよいよその時が来た。
私はチラシについていたキャラメルハニーパンケーキの無料券を握
きれいな店内、暖かみのある照明、店員さんの元気な声。そして、
それからも私はデニーズをよく利用している。
特に高校生の頃は受験勉強でよく長居をした。
学校の近くにあるデニーズで友人と食事をした後、
地元にあるという安心感から、
しかし、なぜか心が満たされない。
最寄り駅のデニーズが一番居心地よいのである。
そうか。私はデニーズが好きなんじゃなくて、ここのデニーズの接客が好きなんだ。
季節のおすすめメニューを丁寧に説明してくれる人。
どの店舗よりも早くお冷を注ぎに来る人。
レジでお釣りを渡し終えた後も笑顔で挨拶をする人。
年齢もさまざまで、
そんな人たちだから、長居をとがめることもない。
それについつい甘えてしまうのが私である。
入試の前日に9時間以上いたこともあった。
それでも何も言わずお冷を注いでくれたり、
さすがに申し訳ないと感じた私は、
店員さんは「逆に申し訳ない」と言いながら、
私は自分たちの罪がようやく滅ぼされたことに少し安心した。(滅ぼされたと思うあたりがまだまだ子ども)
すると数分後、その店員さんが再び私たちの前に現れた。
「これは私からの合格祝いです。」
トレーの上には、2種類のアイスにいちごのトッピングがされたも
9時間も居座ったあの日より、申し訳ない気持ちになった。
大学生の頃もレポートの〆切が迫ると決まってデニーズへ行ってい
忘れもしない大学3年生の冬、
この頃から他のファミレスで言うところのドリンクバーと同じ制度
2023年、そんな愛しのデニーズが開店20周年を迎えた。
客側として今まで閉店の危機を感じたことは一度もなかったが、
直近で言えば、飲食店が大打撃を受けたコロナ禍を乗り越えたのは店舗の歴史に刻まれるほどのことと言っても過言ではない。
もっとびっくりするのは10年以上働いている店員さんが何人もい
おそらく開店当初から働いている人もいるのだろう。
たしかに、
働きやすい環境のお店に行くのは、
令和になってもこの街は相変わらず不便である。
自宅付近にコンビニはできず、相変わらず野良猫・タヌキ・
ただこの歳になり、
近くにコンビニやスーパーがない方がきっと日々穏やかに過ごせる
先日母とデニーズでランチをした際、20周年記念のステッカーを
店員さんは「これからもよろしくお願いいたします」
不便で何もない分、この街はいつも人が温かい。